120年ぶりの民法改正が今年の5月に成立し、6月に公布されました。
施行は2020年の春が予定されています。
民法改正の内容自体は、本ブログでも今後取り上げていきたいと思いますが、
今回取り上げるのは、改正の内容自体ではなくその経過措置です。
経過措置とは、改正された法律がどのように(どの時点での契約に)
適用されるかという議論です。
経過措置は改正民法本文に記載されているのではなく、
附則という形で記載されることになります。
経過措置は様々定められていますが、今回は定型約款に関する経過措置を取り上げます。
今回改正民法で、これまで定められていなかった約款について定められることになりました。
(具体的には、組み入れ要件、信義則に関する条項、内容の開示義務、変更についてなど)
その定めの経過措置については、民法改正附則の33条に定められています。
33条の内容はこのような内容です。
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1.新法第五百四十八条の二から第五百四十八条の四までの規定は、
施行日前に締結された定型取引(新法第五百四十八条の二第一項に規定する定型取引をいう。)
に係る契約についても、適用する。ただし、旧法の規定によって生じた効力を妨げない。
2.前項の規定は、同項に規定する契約の当事者の一方(契約又は法律の規定により
解除権を現に行使することができる者を除く。)により反対の意思の表示が書面で
された場合(その内容を記録した電磁的記録によってされた場合を含む。)には、適用しない。
3.前項に規定する反対の意思の表示は、施行日前にしなければならない。
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この経過措置の細かい点については、色々検討する必要がありますが、
大まかな構造としては、
1.改正法については施行前に締結された取引についても適用される。
2.ただし一方当事者が反対の意思表示を書面等でした場合は、適用されない。
3.反対の意思表示は、施行日前にしなければならない。
という構造になっています。
このうち特に、2と3が目を引きます。
これは、上記の1について、施行前に締結された取引についても遡って適用されるという
法律の原則からすると例外的な適用関係にしている以上、
このような規定を置かざるを得なかったということではないかと思います。
実際にこのような反対の意思表示が多数なされることはなかなか考えにくいですが、
意思表示をなされた場合には、企業としてはそのような意思表示を行った人を
別に扱わなければならないと思われ、注意が必要だと考えます。