弁護士徳吉です。今回は憲法のおはなしをします。といっても、憲法を改正すべきかどうかといった生臭い話ではありません。
憲法は、小学校や中学校で皆さん勉強しますし、大学の法学部でも司法試験の勉強でも一番最初に学ぶ大事な科目です。ただ、弁護士になって、実務で憲法を扱う機会は実はなかなかありません。私も今まで、憲法違反を主張する事件を担当したことは残念ながらありません。とはいえ、民法であれ刑法であれどんな法律を扱う事件であっても、その根底に憲法の人権等についての考え方があることはいうまでもありません。
ところで、裁判というのは、法律がルールであって、ある行為などが法律に違反しているかどうかについて当事者(弁護士)が主張し、裁判官がジャッジします。「法律が間違っている、法律がおかしいから自分は正しい。」などと主張しても普通は相手にされません。しかし、それが許されるのが、「この法律は憲法に違反している(から無効だ)。」という主張です。こうした主張がされると、裁判所が「違憲立法審査」をします。その最終審査をするのが、「法の番人」である最高裁判所です。これまでに、最高裁が「この法律は憲法違反である。」と判断した例は13件あり、有名なものでは尊属殺人の重罰規定や民法の婚外子の相続割合規定など、最近の事例ではトランスジェンダーの性別変更に手術を必要とする規定や、旧優生保護法の強制不妊手術の条項などが、違憲と判断されました。最高裁で意見が確定した場合、国会はすみやかにその法律を改正または廃止しなければなりません。
先日、福岡高裁で、「同性婚を認めない民法等の規定は、幸福追求権について定める憲法13条に違反する。」という判決が出され、大きな話題になりました。他の高裁でも違憲判決がいくつか出ています(但し地裁レベルでは合憲判決も出ています)が、あくまで下級審の判断ですので、これをもって国会が直ちに法改正に動くことはないと思われます。今後おそらく最高裁に上告されると思いますので、最高裁がどのような最終判断を下すのか、非常に注目されます。